広告は機械学習による自動化でコンバージョン獲得効率アップ!

機械学習は膨大なデータをもとに人工知能が学習し、最適な答えを出すための方法です。機械学習を使ったサービスはさまざまな分野に出てきていますが、ウェブ広告の分野でも活用されています。
むしろウェブ広告の分野では、機械学習による自動化を推奨する方向へと向かっています。
では広告は機械学習を活用することで、どのようなことができるのでしょうか。ここでは機械学習による広告の自動化の種類と効果、運用を成功させるポイント、そして成功事例について紹介します。
広告における機械学習とは?
広告の機械学習と聞くと難しく感じるかもしれませんが、仕組みはシンプルです。
過去に蓄積された広告の配信データを基に、AIが「どのユーザーに、どのタイミングで、いくらの入札単価で広告を表示すればコンバージョンにつながりやすいか」を予測し、その予測に沿って配信を自動調整する仕組みのことです。
たとえばキーワードの入札単価であれば、同じキーワードでも検索したユーザーの端末や時間帯、地域、過去の行動履歴によってコンバージョンの可能性は変わります。
機械学習はこうした無数の条件(シグナル)を検索が行われるたびに分析し、コンバージョンの可能性が高いと判断した場面では入札単価を上げ、可能性が低いと判断した場面では入札単価を下げるといった調整を、オークションが発生するたびにリアルタイムで行っています。
人力ではとても対応しきれない粒度の調整を、24時間365日続けられる点が機械学習の強みです。
機械学習を動かす「シグナル」とは
シグナルとは、検索クエリ、ユーザー属性、時間帯、地域、使用デバイスなど、広告プラットフォームが取得している情報のことをいいます。他にも広告主のドメインにおけるパフォーマンス履歴も情報として取得しています。
こうしたデータ量が増えれば増えるほど、機械学習による学習は進み、より効果的な施策を提案できる仕組みです。まさに機械が学習するのです。そのためデータ量は機械学習にとって大変重要な要素になっています。
人間が行う場合、膨大な量のデータを集めることも難しいですが、たとえ集めたとしても数百万ものデータを処理することは不可能です。そのため手動よりも機械学習による自動化をした方が、効果的な広告戦略が立てられるわけです。
なぜ広告は機械学習による自動化が必要なのか?
そもそもなぜ広告分野においても機械学習が必要になってくるのでしょうか。その理由は検索キーワードの選定と単価調整に非常に時間がかかるからです。毎日、キーワードの成果によって、クリック単価を下げたり性別やデバイスの設定をしたりするのは大変な労力です。
こうした労力を少しでも減らしたい、そしてその上でコンバージョン率を向上させたいため、広告の自動化を採用している企業が増えています。そして実際にコンバージョン獲得効率がアップしており、グーグルでは広告の自動化を推奨しています。
機械学習による自動化の種類
広告分野の機械学習で頻繁に取り上げられるのが、「スマート自動入札」「スマート広告」「アトリビューションモデル」の3つです。ここではそれぞれについて詳しく説明します。
・スマート自動入札
運用者がパソコンの前で常に入札調整をするのは難しいわけですから、自動入札をすることでこの手間を省けます。過去の実績をもとに、自動で運用調整をしてくれる仕組みです。
Google広告のスマート自動入札には、主に以下の5つの戦略があります。目的に応じて使い分けることが重要です。
- 目標コンバージョン単価(目標CPA):1件あたりのコンバージョン獲得コストの目標を設定し、その範囲内でコンバージョン数を最大化する戦略です。予算内でムダなくコンバージョンを増やしたい場合に向いています。
- 目標広告費用対効果(目標ROAS):広告費に対する売上の目標比率を設定し、その達成を目指しながらコンバージョン値を最大化する戦略です。商品ごとに単価が異なるECサイトなどに適しています。
- コンバージョン数の最大化:目標値を設定せず、日予算を使い切りながらコンバージョン数を最優先で増やす戦略です。まずはデータを蓄積したい段階でも活用されます。
- コンバージョン値の最大化:コンバージョン数ではなく、売上や利益といった「価値」の最大化を目指す戦略です。
- クリック数の最大化:コンバージョンデータがまだ少ない立ち上げ期に、クリック数(=データ)を増やす目的で使われる戦略です。
なお検索キャンペーンでは、目標CPAや目標ROASは「コンバージョン数の最大化」「コンバージョン値の最大化」に任意設定できるオプションという形に統合されており、単独の戦略というよりは目標値の付加機能として扱われています。
・スマート広告
機械学習は、広告クリエイティブの自動生成にも使われています。代表的なものが以下の3つです。
- 動的検索広告:Googleがウェブサイトの情報をもとに、検索クエリに応じた広告見出しを自動で作成してくれる機能です。キーワードの選定や登録、広告文の作成の手間を省けます。
- レスポンシブ検索広告:複数パターンの広告見出しと説明文を登録しておくと、機械学習がユーザーごとに最も反応の良い組み合わせを自動で選んで表示する広告です。
- レスポンシブディスプレイ広告:画像やロゴ、広告文など複数の素材を登録すると、配信面のサイズや形式に応じて機械学習が最適な組み合わせを自動生成し、ディスプレイネットワーク全体に配信する広告です。
こうした「スマート広告」の仕組みにより、広告主は素材を用意するだけで、組み合わせの最適化そのものは機械学習に任せられるようになっています。
・アトリビューションモデル
アトリビューションモデルとは、コンバージョンに至るまでにユーザーが接触した複数の広告に対して、それぞれどれだけ貢献したかを評価する仕組みです。
以前のGoogle広告では「ラストクリック」「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」「データドリブン」の6種類が用意されていましたが、2023年6月以降、Googleはこのうち利用率の低かった「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」の4モデルのサポートを終了しました。
これらのモデルを使用していたコンバージョンアクションは自動的にデータドリブンモデルへ切り替えられており、現在Google広告で選択できるのは次の2つのみです。
- ラストクリックモデル:コンバージョン経路において、最後にクリックされた広告のみに貢献度を割り当てるモデルです。仕組みが分かりやすい一方、それ以前の接点の貢献は評価されません。
- データドリブンモデル:機械学習にもとづき、アカウントに蓄積された過去のコンバージョンデータを分析して、各接点に貢献度を動的に割り振るモデルです。2021年10月以降はこちらがデフォルトの設定になっています。
データドリブンモデルは自動入札との相性が良く、コンバージョンをアシストした間接的な接点も正しく評価できる点がメリットです。
ただし機能させるには一定のデータ量(30日間で300件以上のコンバージョン、かつ3,000回以上の広告インタラクションが目安)が必要で、この水準を下回るとラストクリックモデルに切り替わる仕様になっているため注意が必要です。
機械学習を効果的に機能させるための運用ポイント
機械学習は導入すればすぐに成果が出るわけではありません。AIが正しく学習できる環境を整えることが、成果を最大化するための前提条件になります。
1. 学習期間を確保する
入札戦略や目標値を変更するたびに、機械学習は新しい設定にもとづいて再学習を始めます。変更のたびに学習期間がリセットされ、パフォーマンスが安定するまでに時間がかかるため、設定変更後は最低でも2〜4週間ほど様子を見ることが推奨されています。
この期間を過ぎても改善が見られない場合に、はじめて設定の見直しを検討しましょう。
2. キャンペーン・広告グループを分割しすぎない
機械学習はコンバージョンデータが集約されるほど精度が上がります。ブランドやカテゴリーごとに細かくキャンペーンを分割しすぎると、1つあたりのデータ量が不足し、機械学習がうまく機能しないケースがあります。
目的が近いキーワードや商品は、可能な範囲でグループをまとめて運用するのがポイントです。
3. コンバージョンデータの量と質を高める
機械学習は過去のコンバージョンデータをもとに最適化を行うため、データが少ない状態ではそもそも学習が進みません。
新規アカウントや立ち上げ初期は、いきなりコンバージョン重視の入札戦略を使うのではなく、まずは「クリック数の最大化」などでデータを蓄積し、一定数(目安として月30件以上)のコンバージョンが確保できてからスマート自動入札へ移行するのが安全です。
4. 目標値・予算の変更は段階的に
目標CPAや目標ROAS、日予算を大きく変更すると、機械学習が新しい条件を学習し直すことになり、一時的にパフォーマンスが不安定になります。変更する際は一度に大きく動かすのではなく、±20%程度を目安に段階的に調整するのが望ましいとされています。
5. 学習がリセットされる主なトリガーを知っておく
入札戦略の切り替え、目標値の変更、コンバージョン計測設定の変更、キャンペーン構成の大幅な編集などは、いずれも機械学習の再学習を引き起こす代表的な要因です。
こうしたトリガーをあらかじめ把握しておくことで、「なぜ急に成果が落ちたのか分からない」という事態を避けやすくなります。
機械学習による自動化の効果
では広告を機械学習によって自動化するとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここであらためて3つの自動化の効果について説明します。
1.作業工数の削減
今まで手動で行っていた作業が自動になるわけですから、作業工数が削減されます。作業工数が減れば時間も減るため、業務効率化につながります。
2.コンバージョンアップ
手動で単価を調整するよりも自動化した方が、コンバージョンのアップする例が多数見られます。このコンバージョンアップがGoogleは広告の自動化を勧める理由の1つになっています。
3.CPAの削減
CPAとは顧客獲得1人あたりの支払い額のことで、広告単価の指標の1つです。広告が自動化し、効率よくコンバージョンできるわけですから、CPAも抑えられます。要するにムダな広告費用が減るという効果があるわけです。
成功事例
グーグルでは機械学習の広告の自動化によって成果の出ている事例が紹介されています。ここではその事例について3つ紹介します。(参照:https://ads.google.com/intl/ja_jp/home/success-stories/)
・株式会社じげん
株式会社次元では、膨大な数のキーワードに対応しなければならず、運用工数が膨大になっているという悩みを抱えていました。
そこで動的検索広告と目標コンバージョン単価制を導入し、コンバージョンは2.6倍になり、運用作業工数は75%削減されました。
今までと大きく違い、1日で管理画面を見る時間は1時間もない程度になったようです。かなり効果が出た成功事例だといえます。
Google 広告|自動化導入でコンバージョンが 2.6 倍に「アルバイト EX」
・ティーエムジーインターナショナル株式会社
売上を上げるために、オンライン広告で新規顧客を獲得しようとしたところ、CPAが高く、なかなかうまく新規顧客を獲得できないという現状がありました。そこでCPAを削減しながら、新顧客獲得するために、広告の自動化を行いました。
結果としてCPAは50%削減でき、Google広告経由での新規顧客獲得は14%もアップ。サイト訪問者のコンバージョン率も2倍にアップしており、広告の自動化で大きな成果が得られた事例です。
Google 広告|機械学習による自動化機能で効率的に集客「ミートガイ」
・ベルトラ株式会社
膨大な数の商品を販売しているため、広告のキーワード選定や単価設定にかなりの時間と工数が割かれていました。キーワードがさらに増えており、指導では難しい状況になったわけです。
そこで自動入札機能とデータドリブンアトリビューションを活用し、コンバージョン数は大きく増加。自動化導入2週間後にコンバージョン数は34%も増加しました。今まで設定できていなかったキーワードによるコンバージョン数も22%増加しました。
またモバイルからデスクトップへのクロスデバイスコンバージョン数も31%増加。データドリブンアトリビューションの活用で、旅行者の行動にも気づけたという効果もあったと述べられています。この結果も広告の自動化の大きなメリットですね。
機械学習による自動化で コンバージョン数増加と運用工数削減を達成 | Google 広告
導入時に知っておきたい注意点
機械学習による自動化には多くのメリットがある一方で、導入前に理解しておきたい注意点もあります。
- ブラックボックス化しやすい:機械学習はどのシグナルをどの程度重視して入札しているかの詳細を運用者側から細かく確認することができません。「なぜこの結果になったのか」を完全に把握するのは難しく、ある程度AIの判断を信頼して運用する姿勢が必要です。
- 十分なデータ量がないと機能しにくい:新規アカウントやコンバージョン数の少ないアカウントでは、AIが「どの条件でコンバージョンが取れるか」を学習できず、配信が制限されたりCPAが高騰したりすることがあります。
- コンバージョン数が小数点になる場合がある:データドリブンアトリビューションでは、1件のコンバージョンが複数の接点に按分されるため、管理画面上のコンバージョン数が小数点で表示されることがあります。実際の成約件数が小数になるわけではなく、あくまで貢献度配分上の表示仕様である点を理解しておきましょう。
機械学習による広告自動化の流れは今後も加速する
このように機械学習による広告の自動化は、今後、続くだけでなく、さらに加速すると思われます。作業工数や作業時間が減り、コンバージョンがアップするのであれば、広告の自動化は積極的にすべきでしょう。
ただし機械学習の精度は、学習期間の確保やデータの量・質、頻繁な設定変更を避けるといった運用者側の工夫によって大きく左右されます。
まだ広告の自動化を試していない方は、まず今回紹介したポイントを押さえたうえで、ぜひ一度ためしてみてはどうでしょうか。
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