one to oneマーケティングの必要性とは?実践する意味と注意点

one to oneマーケティングという言葉をご存知でしょうか。マーケティング用語は新しいものが次々と出てきているため、よくわからない言葉も多いはず。そこでこの記事ではone tooneマーケティングのメリットや具体的手法について紹介します。
one to oneマーケティングの日本語の意味とは
そもそもone to oneマーケティングとはどのような手法なのでしょうか。「one to one」はそのまま日本語の意味で考えると1対1ですよね。そのためone to oneマーケティングは、1対1のマーケーティング、つまりはユーザーそれぞれに合わせたマーケティングという意味になります。
たとえば今までメールと言えばどの人にも同じものを送っていました。そのため人によってはまったく関係のないメールが送られてきます。その結果、かえってお店のイメージが悪くなることもありました。
また個人の好みが多様化しているため、一律の宣伝ではうまくいかない事例も増えてきています。
ただ個人の好みに合わせたメール配信と言っても、数が多いわけですから手動では難しかったわけです。しかし今はcookieなどを活用して、システムを使ってユーザーそれぞれに合わせたアプローチが実現できます。そこでone to oneマーケティングが注目されているわけです。
one to oneマーケティングのメリット
one to oneマーケティングは、ユーザーそれぞれに合わせたマーケティングだと説明しました。それぞれのユーザーに合わせて宣伝をするわけですから、ユーザーにとっては必要な情報が手に入ります。
一方企業側としてはサービスを必要としている人に宣伝ができます。そのためサービスを利用してくれる可能性が高まるわけです。その結果、売上も上がるのは間違いありません。
またone to oneマーケティングはシステムさえ導入できれば、自動で行うことが可能です。そのためはじめるためのハードルは低く、宣伝も最適化できるわけですから、業務の効率化にも繋がります。
one to oneマーケティングのデメリット
one to oneマーケティングを行う際のデメリットはなんでしょうか。それはシステムの導入やマーケティング手法を変更するための手間がかかることです。ユーザーそれぞれに合わせた訴求が必要になるからです。
システムを導入できれば比較的楽に行えますが、中小企業など予算が少ない企業にとってはハードルが高いと言えるでしょう。
one to oneマーケティングの具体的手法とは
one to oneマーケティングには5つの手法があります。
・レコメンデーション
レコメンデーションとはあなたへのオススメという意味です。よくECサイトで「オススメ商品」が表示されないでしょうか。それらはあなたの購入履歴にもとづいて表示されているため、個々でオススメ商品が違います。
自分の購入履歴にもとづいて表示されているため、「こんな商品があったのか!」と思わず購入してしまう利用者も多いでしょう。
・リターゲティング広告
ウェブページの利用者ごとに表示される広告が違う場合もあります。その理由はそれぞれのユーザーの行動履歴をもとに、表示する広告を変えているからです。ユーザーの好みにもとづいて広告を表示するため、購入にいたる可能性も高くなります。
また自社以外のウェブページで自社の広告が表示できるため、自社の製品に対する購買意欲を向上される効果があります。
・LPO
LPOとはランディングページ最適化をいいます。ランディングページはユーザーが最初に目にするページです。今まではどのユーザーにも同じページを表示していました。しかし同じサービスでも利用者によって目的が違いますよね。
そこで利用者の属性によってランディングページの表示を変えるようにしています。そのためそれぞれのユーザーの属性に合わせて、ランディングページを作成する必要があります。しかしユーザーのニーズを捉えたページの方が、購買率が高くなるのは間違いないでしょう。
・メルマガ・メッセージ配信
メルマガやSNSでのメッセージでそれぞれのユーザーに合わせた配信もできます。たとえばECサイトでの閲覧履歴をもとに、「オススメ商品」としてメッセージ配信もできます。ECサイトを見た時は買うかどうか迷って辞めたユーザーが、もう一度見るとどうでしょうか。購入する可能性が高まりますよね。
・ダイレクトメール(DM)
ダイレクトメールは自宅に紙ベースのダイレクトメールを送る方法です。ダイレクトメールを送るためにユーザーの住所が必要なため、ユーザー自らが住所を登録する必要があります。住所を登録するのは、その商品を利用したことがあるか、利用する意思があるかのどちらかである場合が多いです。
そのためダイレクトメールが届くと、そのメールを見てもらえる可能性が高まります。つまりメルマガやSNSのメッセージよりも開封してくれる率が高まるというわけです。また最近ではDMを送る時期やDMの内容をユーザーに合わせてカスタマイズできます。そうしたカスタマイズはよりユーザーに情報が届く可能性を高めるでしょう。
One to one マーケティングに役立つシステム
One to Oneマーケティングを成功させるためには、システム導入の検討も必要です。ここではOne to Oneマーケティングで検討すべきシステムを3つ紹介します。
web接客ツール(チャットボットなど)
One to Oneマーケティングは各顧客に合わせた対応が必要です。そのためにはweb接客ツールが有効です。たとえばチャットボットは顧客の知りたい内容を入力すると、その回答を教えてくれます。
答えられない質問については、オペレーターや別の問い合わせ方法へと誘導します。また閲覧履歴や購入履歴をもとに、ポップアップを表示することで、商品の購入に誘導することも可能です。
MA
MAとは「マーケティング・オートメーション」の略でマーケティングに関する業務を自動化するツールです。各顧客を分類し、それぞれの状態に適したアプローチをしていきます。各顧客に適した広告を表示したり、メールを送信したりもできます。
CDP
CDPは「カスタマー・データ・プラットフォーム」の略で顧客情報を管理するシステムです。問い合わせ内容だけでなく、webサイト内での行動履歴も記録しておき、セグメントできます。顧客に関するさまざまな情報を一元管理して、One to Oneマーケティングに活用するツールです。
one to oneマーケティングの事例
one to oneマーケティングは多くの企業や自治体が取り組んでいます。ここではとくに近年、力を入れている企業や自治体を紹介します。
セブン-イレブン
セブンイレブンにもアプリがあります。しかも会員数は2023年4月段階で約2000万人に上っており、販売促進に結びつけようとしています。それぞれの地域に合わせた情報を発信していく予定です。
横浜銀行
横浜銀行はGoogle Cloud のテクノロジーをフル活用してして、one to oneマーケティングを実施しています。顧客のニーズにあわせて最適な提案をすることで、他の銀行との差別化を図っています。
三重県
三重県では持続可能な観光地を作ることを目的に、one to oneマーケティングを実施しています。観光客と適切なコミュニケーションをとり、三重県に敬意を持っている「ロイヤルゲスト」を大事にする取り組みを行っています。「ロイヤルゲスト」の声を観光施策の改善に生かす取り組みもしているとのことです。
Amazon
Amazonは、膨大な顧客データを基に、購買履歴や閲覧履歴に基づいた商品レコメンド機能や、パーソナライズされた広告配信を実施しています。「あなたへのおすすめ」といった機能を通して、顧客の関心に合わせた商品を表示させ、購買意欲を高めています。顧客のレビューや評価も分析し、より精度の高いレコメンドに繋げています。
Netflix
Netflixは、顧客の視聴履歴や評価に基づき、個別の好みに合わせた作品を提案するレコメンド機能を実装しています。視聴傾向や好みを分析し、新作情報やおすすめ作品を個別に通知しています。視聴を中断した作品の続きをトップページに表示するなど、視聴体験の向上に繋げています。
ユニクロ
ユニクロは、アプリ「UNIQLOアプリ」を通じて、顧客の購買履歴や好みを把握し、個別のクーポンやおすすめ商品を配信しています。アプリ会員限定のセール情報や、個別のスタイリング提案など、顧客のニーズに合わせた情報を提供しています。
オンラインストアと実店舗の購買データを連携させ、より精度の高いOne to Oneマーケティングを実施しています。
スターバックス
スターバックスは、アプリ「My Starbucks Rewards」を通じて、顧客の購買履歴や好みを把握し、個別のクーポンやおすすめ商品を配信しています。顧客の利用頻度や購買金額に応じて、ポイントプログラムや特典を提供しています。モバイルオーダー&ペイなどの機能も提供し、顧客の利便性向上と購買促進を図っています。
ZOZOTOWN
ZOZOTOWNは、顧客の購買履歴や閲覧履歴に基づき、おすすめの商品やコーディネートを提案する「パーソナルレコメンド」機能を活用しています。130種類以上のパーソナライズメールを自動配信し、顧客の関心に合わせた情報を提供しています。顧客の属性や好みに合わせた特集ページやキャンペーン情報も配信しています。
楽天
楽天は、楽天グループの多様なサービスを通じて蓄積された顧客データを活用し、個別のメールマガジンや広告を配信しています。顧客の購買履歴や閲覧履歴に基づき、おすすめの商品やサービスを提案しています。楽天ポイントを活用したキャンペーンや特典も提供し、顧客の購買意欲を高めています。
すかいらーくグループ
すかいらーくグループは、アプリ「すかいらーくアプリ」で、顧客の来店履歴や好みに合わせたクーポンを配信し、再来店を促進しています。顧客の誕生日や記念日には、特別なクーポンや特典を配信しています。アプリ会員限定のキャンペーンやイベント情報も配信し、顧客とのエンゲージメントを高めています。
リンナイ株式会社
リンナイ株式会社は、顧客の製品登録情報や興味関心に基づき、個別のメールマガジンを配信しています。顧客の製品の使用状況やメンテナンス時期に合わせた情報を提供しています。顧客からの問い合わせ内容やアンケート結果も分析し、製品開発やサービス改善に繋げています。
one to oneマーケティングの課題
one to oneマーケティングでは、それぞれのユーザーの行動履歴に合わせたマーケティングを行っています。その元になっているのはウェブ上で収集した行動履歴です。そうしたデータを分析、活用しやすくなったのは確かですが、しかしそのデータだけに頼っていてはダメです。
実際にユーザーがなぜそのサービスを利用しているか、また改善点はないかなど、ユーザーの声を聞くべきでしょう。そしてその声をサービスの改善に役立てる仕組みが必要です。アンケートひとつとっても、そのアンケート結果をどのようにサービスの改善に反映させるのか、その仕組みづくりをしておきましょう。
one to oneマーケティングでユーザーと新しい関係を築こう!
one to oneマーケティングはユーザー一人ひとりに向き合うマーケティングです。価値観が多様化している現代において必要なマーケティング手法だと言えるでしょう。今までマスに向かって行っていたマーケティングを一人ひとりに向けてカスタマイズが必要なので、手間はかかります。
しかし購買率は格段に上がりますので、システムを導入してユーザー情報を収集、分析してone to oneマーケティングを実践してみてください。