【新任マーケター必見】マーケティングファネルと生成AIを活用しよう
みなさんは顧客の購買行動をどのように分析していますか?顧客が製品やサービスを知り、最終的に購入に至るまでの一連のプロセスを「マーケティングファネル」と呼びます。マーケティングファネルを活用することで、顧客の購買行動をより深く理解し、最適なマーケティング戦略を検討できます。
本記事では、マーケティングファネルの基本的な説明から、ファネルのそれぞれのフェーズにおけるマーケティング施策、課題について紹介し、最後にマーケティングファネルの各フェーズで、今後どのように生成AIが活用されていくのかについて解説します。
マーケティングファネル
マーケティングファネルとは、最初に顧客が製品やサービスを認知し、最終的に購入に至るまでの一連のプロセスを可視化したモデルのことです。
このプロセスは「認知」から始まり、上から下へ降りていき、最後に「購入」に辿り着きます。最初は幅が広く、下に降りていくにつれ狭くなる形状がファネル(漏斗・ろうと)と似ているため、マーケティングファネルと名付けられました。
本章では、マーケティングファネルの代表的なフレームワークとして、AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)をそれぞれ解説します。
AIDMA
マーケティングファネルにはいくつかのフレームワークがあります。その中でも一番有名なフレームワークがAIDMA(アイドマ)です。AIDMAは、Attention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5つの頭文字を取って名付けられました。
顧客が製品やサービスを認知し、購入に至るまでの一連のプロセスを5段階のフェーズに分けています。具体的なAIDMAの各フェーズの説明は以下の通りです。
Attention(認知):顧客が広告やマーケティングメッセージに気付く段階です。広告のデザインやキャッチコピーなどで顧客の注意を引きます。
Interest(興味):顧客が製品やサービスに興味を持つ段階です。製品の特徴や利点を強調し、顧客の興味、関心を引きます。
Desire(欲求):顧客が製品やサービスを欲しいと感じる段階です。商品のメリットや価値を強調し、顧客の欲求を喚起します。
Memory(記憶):顧客が製品やサービスについての情報を記憶する段階です。繰り返しの広告やメッセージを通じて、顧客の記憶に残るようにします。
Action(行動):顧客が実際に製品やサービスを購入する段階です。購入に至るまでの障壁を取り除き、スムーズな購買プロセスを提供します。
AISAS
AIDMAを元に、時代の変化に合わせて生れたフレームワークがAISAS(アイサス)です。これはインターネットの普及に伴って広まったフレームワークで、AIDMAには無い、Search(検索)、Share(共有)のフェーズが追加されました。
インターネットが普及した現代では、商品やサービスを購入する際、事前にインターネットで「検索」し情報収集をすることが当たり前になりました。また、SNSの普及により、購入した商品やサービスの情報や感想を「共有」することも日常になりつつあります。こうした時代の変化に合わせて生まれたフレームワークがAISASです。
具体的なAISASの各フェーズの説明は以下の通りです。
Attention(認知):顧客が製品やサービスに関する情報に気付く段階です。広告やSNSの投稿などを通じて、顧客の注意を引きます。
Interest(興味): 顧客が製品やサービスに興味を持つ段階です。製品の特徴やメリットに関する情報を提供し、顧客の関心を高めます。
Search(検索): 顧客が興味を持った製品やサービスについて、インターネットで情報を検索する段階です。検索エンジンやレビューサイト、SNSなどで詳しい情報を探します。
Action(行動): 顧客が製品やサービスを購入する、または行動を起こす段階です。オンラインショップでの購入や店舗への訪問が含まれます。
Share(共有): 顧客が購入した製品やサービスについての情報を、SNSやレビューサイトで共有する段階です。ポジティブなレビューや口コミが新たな顧客の注意を引くきっかけとなります。
ファネルの各フェーズにおけるマーケティング施策
本章では、ファネルの各フェーズにおいて有効なマーケティング施策を簡単に紹介していきます。例として、Attention(認知)のフェーズでは、オウンドメディアの活用が有効です。
オウンドメディアとは、企業や個人が自ら運営し、発信頻度や内容をコントロールできるメディアのことを指します。オウンドメディアは自分たちで運営するため、他者のプラットフォームに依存することなく、自社ブランドのメッセージを顧客に伝えられる重要なチャネルです。
Interest(興味)のフェーズでは、メールマガジンを活用できます。潜在顧客の関心を引き続け、ブランドや製品に対する興味を高める上で、メールマガジンは重要なマーケティング施策の1つです。
このフェーズでは、顧客リストを元にメールマガジンを配信し、有益で魅力的なコンテンツにより、顧客の興味、関心を惹くような施策を実施します。
Search(検索)のフェーズでは、顧客からの問い合わせ対応が求められます。顧客がより具体的な情報を求めて積極的に調査を行う段階なので、顧客が持つ疑問や不安を解消し、購買行動に進むようにサポートすることが重要です。
このフェーズでは顧客の購買意欲は高くなってきているため、最終的な購入にスムーズに移行するよう、心理的障壁を下げる工夫が必要です。
一方で、これらのようなファネルの各フェーズにおけるマーケティング施策には、いくつかの課題があります。例えば、オウンドメディアのコンテンツ生成やメールマガジンの配信は、多くの時間とコストがかかる作業です。また、問い合わせ対応に専用の窓口を設置するには、多くの人件費や外注費用がかかってしまいます。
そこで近年では、生成AIを活用してマーケティング施策を効率化する取り組みが進んでいます。次章では生成AIの概要、モデル、具体的に生成可能なコンテンツを紹介し、さらに次の章では、マーケティング課題を改善するための生成AI活用について紹介していきます。
生成AI
そもそも生成AIとはどのようなものなのでしょうか。ここでは生成AIの概要とChatGPTとDALL-Eについて説明します。
生成AIとは
生成AI(Generative Artificial Intelligence)とは、機械学習を通じて自動的にテキスト、画像、音声などのコンテンツを生成する技術の総称です。生成AIは大規模なデータセットを学習し、そのデータから新しい情報を作り出す特徴を持っています。
特に、自然言語処理に基づく生成AIは、テキスト生成の分野で著しく進化しており、対話型AIや言語モデルが近年注目されています。
生成AIの代表的な例として、OpenAIが開発したGPT-3があります。GPT-3はテキスト生成において非常に高い性能を示し、コンテンツの自動生成、質問応答、文章要約、言語翻訳など多岐にわたるタスクに利用されています。
生成AIの進化により、デジタルコンテンツの生成やカスタマーサポートなど、さまざまな分野で効率化が進んでいます。
多くの方が聞いたことがあるであろうChatGPTでは、このGPT-3やGPT-4といったモデルが使われています。2024年5月には「GPT-4o」という最新モデルが発表されました。
ChatGPTとDALL-E
ChatGPTは、過去のテキストデータから学習した知識を基に、人間と自然な会話を行うように文章を生成します。例えばユーザーの質問に答えたり、対話を続けたりできるのです。ChatGPTは、チャットボットやカスタマーサポート、文章の自動生成など、様々な場面で利用されています。
一方、DALL-E(ダリ)は、OpenAIが開発した画像生成モデルです。DALL-Eは、テキストの説明から画像を作り出すことが可能です。
例えば、「青い雲の上に浮かぶ猫のような宇宙船」といった文章を入力すると、そのイメージに基づいた画像を生成できます。DALL-Eは、アートやデザインの創作、画像生成の自動化など、多様な分野で活用されています。
ChatGPTとDALL-Eを組み合わせた画像の生成も可能です。例えばユーザーが「青い雲の上に浮かぶ猫のような宇宙船」といった文章をリクエストした場合、ChatGPTがそのリクエストを理解し、DALL-Eに情報を渡し、画像を生成することができるのです。
生成AIはファネルに基づくマーケティング施策にも影響を与えています。コスト削減に加え、広告効果やユーザーエクスペリエンスの向上など、多くの可能性を秘めています。次の章では、マーケティング課題を改善するための生成AI活用について解説します。
マーケティング課題を改善するための生成AI活用
第2章では、ファネルに基づくマーケティング施策にいくつかの課題があることについて説明しました。例えばオウンドメディアのコンテンツ生成やメールマガジンの作成には多大な労力がかかり、コールセンターの設置には人件費や外注費用が大きな負担となります。
この負担を軽減すべく、各ファネルに基づくマーケティング施策で生成AIの活用が進んでいます。オウンドメディアにおいては、記事の執筆にChatGPTなどの文章生成AIが利用されるとともに、アイキャッチや記事内の挿入画像にはDALL-Eなどの画像生成AIが活用されています。
メールマガジンの作成では、顧客リストからターゲットを絞り込む際にChatGPTなどの対話型生成AIを使い、セグメンテーションやターゲッティングの方向性を対話しながら検討する方法が広まっています。また、メールマガジンの文章作成にも生成AIの機能を活用することができます。
さらに、顧客からの問い合わせ対応にはチャットボットの利用が進んでいます。
顧客からの問い合わせに直接生成AIを活用している事例はまだ少ないものの、社内での問い合わせ初期対応に生成AIを利用する事例が増えています。以前は総務・経理などの担当者が対応していた社内の問い合わせ対応を、社内のQ&Aリソースを生成AIに学習させたチャットボットで代替する動きが進んでいます。
まとめ
本記事では、マーケティングファネルの基本から、各フェーズにおけるマーケティング施策の課題と、生成AIを用いた解決策について説明しました。
マーケティングファネルは、顧客が製品やサービスを認知し、購入に至るまでの過程を示す重要なモデルです。代表的なフレームワークとしてはAIDMAとAISASがあり、AIDMAはAttention(認知)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5段階を通じて顧客が購買に至るプロセスを示しています。
対して、AISASはSearch(検索)とShare(共有)を追加し、現代の顧客行動を反映したフレームワークです。
ファネルの各段階でのマーケティング施策には、オウンドメディアの活用、メールマガジンの利用、顧客からの問い合わせ対応などがあります。しかし、これらの施策には多大な労力や人件費がかかるため、生成AIの導入が注目されています。
オウンドメディアのコンテンツやメールマガジンの作成、問い合わせ対応のチャットボットなど、さまざまなマーケティング施策に生成AIを活用することで、コスト削減と同時に顧客エンゲージメントの強化を実現し、競争力を高めることができます。
生成AIは今後もマーケティングファネル全体の課題解決のための強力なツールとして利用されていくでしょう。
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