【2026年】デマンドジェネレーションキャンペーンの設定方法

Google広告の「デマンドジェネレーションキャンペーン(Demand Gen)」は、YouTube、Discover、Gmailといった、ユーザーが情報を”発見”する場所に広告を配信し、まだ明確なニーズを持っていない潜在層の需要そのものを創り出すキャンペーンタイプです。
検索広告が「すでに顕在化した需要を刈り取る」のに対し、デマンドジェネレーションは「これから需要を生み出す」点に本質があります。
サードパーティCookieの規制が進み、従来型のリターゲティングの精度が落ちつつある今、Googleの膨大なファーストパーティシグナルを活用できるこのキャンペーンの重要性は年々高まっています。
また、2025年から2026年にかけて、動画アクションキャンペーン(VAC)やディスプレイ広告(GDN)がこのデマンドジェネレーションへ統合されるという大きな再編も進行しており、Google広告の中核を担う存在になりつつあります。
この記事では、デマンドジェネレーションキャンペーンの仕組みや他キャンペーンとの違いから、2026年時点の最新仕様、具体的な設定方法、そして成果を正しく測定するためのポイントまでを解説します。
デマンドジェネレーションキャンペーンとは
デマンドジェネレーションキャンペーンは、Googleが提供するYouTube・Discover・Gmailなどの配信面を通じて、ビジュアル訴求力の高い広告を配信し、潜在顧客の関心を喚起してコンバージョンにつなげるキャンペーンです。
もともとは「ファインド広告」として提供されていましたが、2023年にデマンドジェネレーションキャンペーンとして刷新され、配信面と機能が大きく拡張されました。
「ファインド広告」という表記を見かけた場合、それは現在のデマンドジェネレーションを指しています。
配信面
デマンドジェネレーションは、月間数十億人規模のユーザーが利用するGoogleの主要サービスに配信できます。
- YouTube:ホームフィード、視聴ページ、そしてYouTubeショート。動画・画像の両方で配信可能です
- Discover:GoogleアプリやモバイルbrowserのDiscoverフィード。情報収集モードのユーザーに自然な形でリーチできます
- Gmail:プロモーションタブ・ソーシャルタブの上部
- Googleディスプレイネットワーク(GDN):後述する2025年以降のアップデートにより、配信面として追加されました
ターゲティング(オーディエンスの種類)
デマンドジェネレーションでは、以下のオーディエンスを組み合わせて設定します。近年のGoogle広告は、これらを「配信対象を厳密に限定する枠」というより「AIに配信の方向性を示すヒント(シグナル)」として扱う設計に移行しています。
- カスタムセグメント:キーワードや競合サイトのURL、アプリを指定して、独自のオーディエンスを定義
- データセグメント(旧・リマーケティング):自社サイトの訪問者やアプリ利用者、顧客リストなど
- 興味・関心/購買意向の強いセグメント:Googleが分類したユーザーの関心にもとづくセグメント
- 類似セグメント:既存の優良顧客に似た特性を持つ新規ユーザー(後述のとおり、他キャンペーンでは廃止済みですが、デマンドジェネレーション内では引き続き利用できます)
- ユーザー属性:年齢・性別・地域・使用デバイスなど
課金形態と入札戦略
課金形態は、目的に応じてクリック課金(CPC)やインプレッション課金(CPM)などが用いられます。入札戦略は次の4つから選択できます。
- コンバージョン数の最大化(目標コンバージョン単価/目標CPAの設定も可能)
- コンバージョン値の最大化(目標広告費用対効果/目標ROASの設定も可能)
- クリック数の最大化
- 目標クリック単価
【2025〜2026年】必ず押さえておきたい最新アップデート
デマンドジェネレーションは、この1〜2年で最も変化の激しいキャンペーンタイプの一つです。ここでは、運用に直結する重要な変更点を整理します。
①動画アクションキャンペーン(VAC)がデマンドジェネレーションへ統合された
YouTube向けのコンバージョン獲得キャンペーンだった「動画アクションキャンペーン(VAC)」は、デマンドジェネレーションへ統合されました。
2025年4月に新規作成が停止され、2025年7月以降、既存のVACが順次デマンドジェネレーションへ自動アップグレードされています。これにより、YouTubeでのコンバージョン獲得施策はデマンドジェネレーションに一本化されました。
②ディスプレイ広告(GDN)もデマンドジェネレーションへ統合が進行中
さらに大きな動きとして、従来のGoogleディスプレイ広告キャンペーンも、デマンドジェネレーションへ統合されることが発表されています。2026年6月から移行ツールの提供が始まり、2027年中に移行が完了する予定です。
これは「GDNという配信面がなくなる」という話ではなく、「GDNを管理するキャンペーンタイプがデマンドジェネレーションに変わる」というものです。
移行ツールを使えば、過去のパフォーマンス履歴(過去42日分)を引き継いだ切り替えが可能です。ディスプレイ広告を運用している場合は、早めに準備を進めておくことをおすすめします。
③チャネルコントロールで配信面を選べるようになった
かつてのデマンドジェネレーションは配信面を細かく指定できませんでしたが、2025年3月から「チャネルコントロール」機能が導入され、YouTube・Discover・Gmail・GDNの中から広告の表示場所を選択できるようになりました。
「YouTubeだけに配信したい」「GDNのみで運用したい」といった柔軟な設計が可能です。この設定は広告グループ単位で行えます。
④画像広告への対応拡大
2025年4月から、動画だけでなく画像アセットもGDNのイメージインベントリへ配信できるようになりました。これにより300万超のサイト・アプリへリーチが広がり、動画クリエイティブを用意できない場合でも画像広告のみで運用を継続しやすくなっています。
なお、従来のGDNでおなじみだった固定ピクセルサイズのバナー(アップロード型ディスプレイ広告)については、2026年6月から始まるGDN統合の中で静止画形式が対応済みとなり、HTML5形式は2026年後半に対応予定とされています。
⑤最低日予算「5米ドル」が適用された
2026年4月1日より、すべてのデマンドジェネレーションキャンペーンに最低日予算5米ドル(現地通貨換算相当額)が適用されました。
キャンペーン開始直後の学習期間(コールドスタート)で、AIの最適化に十分なデータを確保するための変更です。現在それ未満で稼働中のキャンペーンはそのまま継続されますが、予算や期間を変更する際には最低額以上へ引き上げる必要があります。
他のキャンペーンとの違い
デマンドジェネレーションは、目的が似た他のキャンペーンと混同されがちです。違いを整理しておきましょう。
P-MAXキャンペーンとの違い
最も混同されやすいのがP-MAXです。両者はどちらもAIによる自動最適化を軸にしますが、目的と配信範囲が異なります。
デマンドジェネレーション | P-MAX | |
主な目的 | 潜在層の需要創出・認知〜比較検討 | コンバージョン獲得の最大化 |
配信面 | YouTube・Discover・Gmail・GDN | 検索・ディスプレイ・YouTube・Gmail・Discover・マップ・ショッピングの全面 |
クリエイティブの主導権 | 広告主が用意したクリエイティブで訴求(ビジュアル重視) | Googleが自動生成・自動配分 |
検索広告面への配信 | なし | あり |
向いているフェーズ | 需要の掘り起こし | 刈り取り |
ビジュアルで潜在層に働きかけたいならデマンドジェネレーション、検索も含めた全面でとにかくコンバージョンを最大化したいならP-MAX、という使い分けが基本です。
ディスプレイ広告(GDN)との違い
従来のGDNが「幅広い面にリーチを広げる」ことを主眼にしていたのに対し、デマンドジェネレーションはビジュアル訴求力の高いフォーマットと、Googleのオーディエンスシグナルを活かした精度の高い配信が特徴です。前述のとおり、両者は統合が進んでおり、今後はデマンドジェネレーションに一本化されていきます。
検索広告との違い
検索広告は、検索窓に能動的にキーワードを入力した「顕在層」に配信します。一方デマンドジェネレーションは、まだ検索行動を起こしていない「潜在層」に対して、YouTubeやDiscoverを閲覧している最中に働きかけます。需要を「刈り取る」検索広告と、需要を「創り出す」デマンドジェネレーションは、役割が根本的に異なります。
デマンドジェネレーションキャンペーンのメリット
- 膨大なリーチ:YouTube・Discover・Gmailという、日常的に利用される巨大な配信面にアプローチできます
- Googleの独自シグナルを活用した高精度な配信:検索履歴や視聴傾向など、Googleが保有する豊富なデータをもとにAIが配信を最適化します
- ネイティブで自然な広告体験:各配信面のデザインに溶け込む形式のため、ユーザーに受け入れられやすく反応を得やすい傾向があります
- YouTubeショートへの配信がしやすい:拡大するショート動画枠に、比較的手軽にアプローチできます
- ファーストパーティデータを活かせる:Cookie規制下でも、自社データやGoogleシグナルにもとづいた配信が可能です
デマンドジェネレーションキャンペーンの注意点・デメリット
導入前に、以下の点も理解しておきましょう。
- 一定の運用期間とコンバージョン数が必要:AIの機械学習が安定するまでに時間がかかります。学習期間として最低2〜4週間はデータを蓄積し、その間は設定を頻繁に変更しないことが重要です。コンバージョン数が少なすぎると最適化が進みません
- 手動での細かな入札コントロールができない:入札は自動最適化が基本で、運用者が個別に細かく制御することはできません
- 配信面・プレースメントの細かな除外に制約がある:チャネル単位の選択はできるようになりましたが、GDNのような細かいプレースメント指定・除外には対応していない領域が残ります
- クリエイティブ制作のリソースが必要:ビジュアル訴求が肝になるため、質の高い画像・動画アセットの準備が成果を大きく左右します
- 審査基準が比較的厳しい:デリケートなカテゴリ(健康、金融、選挙関連など)には配信上の制限があります
デマンドジェネレーションキャンペーンの入稿規定(クリエイティブ仕様)
主なフォーマットと仕様の概要は以下のとおりです(詳細な最新仕様はGoogle広告のヘルプで確認してください)。
シングルイメージ広告
- 横向き(1.91:1):1200×628px推奨
- スクエア(1:1):1200×1200px推奨
- 縦向き(4:5):960×1200px推奨
- ロゴ(1:1):1200×1200px推奨。スクエア形式のロゴが1枚必須で、最大5枚まで登録できます
カルーセル広告
- 2〜10枚のカードで構成
- 横向き(1.91:1)、スクエア(1:1)、縦向き(4:5)のいずれかのアスペクト比で、カード間は統一が必要
- ロゴ(1:1)が1枚必須
動画広告
- 縦向き・スクエア・横向きの複数アスペクト比を用意することが推奨されます
- 10秒以下の短尺はYouTubeショート面での配信に有効です
いずれのフォーマットでも、テキストやロゴが見切れないようセーフゾーンを意識した制作が重要です。複数のアスペクト比を揃えるほど、AIが最適な面へ配信しやすくなります。
デマンドジェネレーションキャンペーンの設定方法
ここからは、実際の設定手順を6つのステップで解説します。
ステップ1:新しいキャンペーンを作成する
Google広告の管理画面で「キャンペーン」から「+」ボタンをクリックし、「新しいキャンペーンを作成」を選びます。
ステップ2:目標を選択する
「販売促進」「見込み顧客の獲得」「ウェブサイトのトラフィック」など、キャンペーンの目標を選択します。目標に応じて、後の入札戦略の選択肢が変わります。目標を選んだら、キャンペーンタイプの一覧から「デマンドジェネレーション」を選択します。
ステップ3:キャンペーンレベルの設定を行う
キャンペーン名、地域・言語のターゲティング、そしてチャネルコントロール(YouTube・Discover・Gmail・GDNのうちどこに配信するか)を設定します。コンバージョントラッキングが正しく設定されていることも、ここで必ず確認してください。後述しますが、これが計測の成否を分けます。
ステップ4:入札単価と予算を設定する
入札戦略(コンバージョン数の最大化、目標CPAなど)と日予算を設定します。前述のとおり、2026年4月以降は最低日予算5米ドルが適用されます。
Google公式のパフォーマンスガイドでは、日予算は目標コンバージョン単価の10倍以上に設定することが推奨されています。日予算が少なすぎると、それが原因で新しいキャンペーンの成果が伸び悩むことがあるためです。
ステップ5:広告グループとオーディエンスを設定する
広告グループを作成し、ターゲットとするオーディエンス(カスタムセグメント、データセグメント、類似セグメントなど)を設定します。最適化されたターゲティングを有効にすると、設定したオーディエンスをヒントにしつつ、コンバージョンの見込みが高いユーザーへ配信が自動的に拡張されます。
ステップ6:広告(アセット)を作成する
用意した画像・動画・見出し・説明文・ロゴなどのアセットを入稿します。複数のアスペクト比とパターンを登録することで、AIが各配信面に最適な組み合わせを選べるようになります。入稿後、審査を経て配信が開始されます。
デマンドジェネレーションを成功させる運用ポイント
- 学習期間を尊重する:配信開始から2〜4週間は、大きな設定変更を避けてAIの学習を待ちます
- クリエイティブを複数用意し、定期的に刷新する:同じ広告を配信し続けると反応が鈍化(摩耗)します。定期的な差し替えが有効です
- オーディエンスは「絞り込み」より「良質なヒント」を意識する:AIに配信を任せる設計のため、質の高いシグナル(優良顧客のデータなど)を与えることが精度向上の鍵です
- アトリビューションを正しく評価する:デマンドジェネレーションは潜在層への働きかけが役割のため、ラストクリックだけで評価すると貢献を過小評価しがちです。間接的な貢献も含めて評価しましょう
【重要】デマンドジェネレーションの成果を正しく測るには「電話コンバージョン」の計測が欠かせない
デマンドジェネレーションは潜在層の需要を喚起するキャンペーンです。だからこそ、その成果測定には特有の落とし穴があります。
Web上のコンバージョンだけでは、成果を取りこぼす
デマンドジェネレーションで自社を知ったユーザーが、すぐにWebフォームから申し込むとは限りません。特に、不動産・工務店・医療・士業・BtoB商材・自動車といった検討期間が長く、単価の高い商材では、広告で興味を持ったユーザーが最終的に「電話で問い合わせる」ケースが非常に多くなります。
ところが、電話での問い合わせはWeb解析の標準的な計測では捕捉できません。その結果、「デマンドジェネレーション経由で電話問い合わせ・成約が発生しているのに、管理画面上はコンバージョンゼロ」という事態が起こります。これを見て「効果がない」と判断し、実際には需要を生んでいたキャンペーンを止めてしまう——これは非常にもったいない誤った意思決定です。
コールトラッキングで「広告が生んだ電話」を可視化する
コールトラッキングを導入すると、「どの広告・どのキャンペーン経由で電話がかかってきたのか」を紐づけて計測できます。デマンドジェネレーションの文脈では、次のような価値があります。
- デマンドジェネレーション経由の電話コンバージョンを可視化できる:Webフォームだけでは見えなかった成果を正しく評価でき、キャンペーンの本当の費用対効果が把握できます
- 電話コンバージョンをGoogle広告に戻し、AIの学習精度を高められる:デマンドジェネレーションはAIによる自動最適化が中核です。電話で成約した優良顧客のデータを学習させることで、「Web上では追えないが実際に成約している顧客」の特徴をAIが学習し、配信精度そのものが向上します
- ブラウザやCookieに依存しない計測ができる:「通話」という事実ベースの計測は、Cookie規制の影響を受けにくいファーストパーティデータです
ステップ3で「コンバージョントラッキングの設定を必ず確認」とお伝えしたのは、まさにこのためです。計測基盤が不完全なままデマンドジェネレーションを運用すると、AIに不正確なデータを学習させることになり、成果が頭打ちになってしまいます。
まとめ:需要を創り出し、その成果を正しく測る
デマンドジェネレーションキャンペーンは、YouTube・Discover・Gmailという巨大な配信面で潜在層の需要を創り出す、2026年のGoogle広告における中核的なキャンペーンです。VACやディスプレイ広告の統合が進み、その重要性はますます高まっています。改めて要点を整理すると、次のとおりです。
- 需要を「刈り取る」検索広告に対し、需要を「創り出す」のがデマンドジェネレーション
- VAC(2025年)・ディスプレイ広告(2026〜2027年)の統合により、中核的な存在になりつつある
- チャネルコントロール・画像広告対応・最低日予算5米ドルなど、仕様変更が頻繁なので最新情報の確認が必須
- AIによる自動最適化が軸のため、与えるデータの質と学習期間の確保が成果を左右する
そして、忘れてはならないのが成果測定です。潜在層を動かすデマンドジェネレーションは、その成果が電話問い合わせという形で現れることが少なくありません。Web上のデータだけを見ていては、最も価値ある成果を取りこぼしてしまいます。
コールデータバンクは、電話成果を含めた広告効果を100%計測し、すべての成果に至るマーケティングデータを一元管理できるツールです。「どの広告・どのキャンペーン経由で電話がかかってきたのか」を可視化し、デマンドジェネレーションが生み出した需要を、電話コンバージョンまで含めて正確に評価できます。その計測データをGoogle広告に戻すことで、AIの最適化精度を一段引き上げることも可能です。
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