P-MAXの検索テーマとは?設定方法と選び方を解説

P-MAX(パフォーマンス最大化キャンペーン)は、Google検索・ディスプレイ・YouTube・Gmail・Googleマップなど、Googleのほぼすべての広告枠へ1つのキャンペーンで配信できる仕組みです。
運用工数を大きく削減できる一方、キーワードを指定できないため「意図しないユーザーに配信されている気がする」という不安がつきまといます。
この課題を埋めるのが「検索テーマ」です。広告主が持つビジネス上の知見を、AIに直接伝えられる機能として2023年10月に登場しました。
そして2026年現在、この機能には運用に直結する変更があります。設定できる上限が、従来の25個から50個へ倍増しました。 古い情報のまま25個で運用していると、AIに渡せる手がかりを半分しか使えていないことになります。
この記事では、検索テーマの仕組みから設定手順、キーワードの選び方、注意点、そして成果を正しく評価するための視点までを解説します。
P-MAXの検索テーマとは
検索テーマとは、ターゲットとしたいユーザーが使っている検索語句を、広告主自身がP-MAXに追加できる機能です。
Google広告のヘルプでは、広告主の知見とGoogle AIを組み合わせることで、検索を含むGoogleの各チャネル全体で関連性の高い顧客へリーチを拡大できる機能と説明されています。
なぜこの機能が必要になったのか
P-MAXは本来、アセット・商品フィード・ランディングページ・過去の配信データをもとにAIが学習し、配信先を自動で判断します。運用者がキーワードを指定することはできません。
この設計は工数削減に大きく寄与する一方、次の弱点を抱えていました。
- AIの学習に時間がかかる:手がかりが少ないため、成果が安定するまで一般に4〜6週間程度のテスト期間が必要とされます
- ビジネス固有の事情を伝えられない:業界特有の言い回しや、自社にとって重要な語句をAIは知りません
- ランディングページに情報がないと不利:サイトに書かれていないサービスは、AIが認識できません
検索テーマは、この隙間を埋めるために用意されました。AIがゼロから探索する時間を短縮し、運用者のビジネス理解を配信に反映させるための機能です。
配信を限定する機能ではない
誤解が多い点ですが、検索テーマはキーワードのように配信先を絞り込むものではありません。
公式ヘルプでは、検索テーマは「アセット、フィード、ランディングページに基づいてP-MAXが効果を発揮すると予測される検索語句とプレースメントに追加される」と説明されています。AIがすでに判断している配信対象に、上乗せする形で情報を足す仕組みです。
そのため、設定したテーマに完全に一致するユーザーだけに配信されるわけではありません。目標達成につながるとAIが判断すれば、関連性の高い他のオーディエンスにも広告は表示されます。
【2026年】上限が50個に倍増しました
運用上、最も重要な変更点です。
Google広告のヘルプには「検索テーマはアセットグループごとに50個まで追加できます」と明記されています。
アップデート前 | 現在 | |
設定上限 | 25個 | 50個 |
文字数制限 | 半角80文字(全角40文字) | 変更なし |
設定単位 | アセットグループごと | 変更なし |
上限が倍になったことで、次のような使い方が可能になりました。
- 主力キーワードだけでなく、ターゲットが抱える周辺の悩みや比較検討時の語句まで網羅的に伝えられる
- 検索語句レポートにまだ現れていないが、獲得の可能性がある語句を先回りして設定できる
- AIの自動拡張に任せきりにせず、運用者のビジネス理解にもとづいた戦略的な拡張ができる
なお、解説記事のなかには上限を25個としているものもありますが、これは更新前の情報です。管理画面で26個目以降が入力できる場合は、50個まで使えると考えて差し支えありません。
検索テーマを設定するメリット
検索テーマを設定することで得られる効果は、大きく2つに整理できます。
1. 広告主の知見をAIに反映できる
AIは過去のデータから学習しますが、まだデータになっていない情報は知りません。
たとえばサングラスを販売するECサイトで、LP上ではすべてユニセックスとして展開しているとします。しかし実際には「サングラス レディース」と検索して購入した女性が複数いた、というのがデータ分析で判明したとします。
このとき「レディース」といった語句を検索テーマに明示的に追加すれば、AIの学習だけではリーチできなかった潜在顧客にも配信が広がることが期待できます。運用者が現場で掴んでいる肌感覚を、そのまま配信に反映できるわけです。
2. 機械学習の期間を短縮できる
P-MAXは十分なデータが蓄積されるまで成果が安定しません。検索テーマで手がかりを与えることで、この立ち上がりを早められます。
新商品をリリースした直後など、過去データが存在しない場面では特に効果的です。
検索テーマを設定すべき場面
すべてのキャンペーンで必須というわけではありません。特に効果を発揮するのは、AIに渡せる情報が不足している状況です。
ランディングページの情報が不足している場合
先ほどのサングラスの例で、「調光機能」付きの新商品をリリースしたとします。ところがLPにはまだその情報が載っておらず、更新は外部パートナーへの依頼が必要で時間がかかる状況です。
このとき「調光機能」を検索テーマに追加しておけば、LPの改修を待たずに、その機能を探しているユーザーへ配信を最適化できます。
仮にLP更新が間に合ったとしても、変更直後はデータが蓄積されていません。どちらにせよ検索テーマで補っておくのが確実です。
配信を始めたばかりでデータが少ない場合
新規のキャンペーンや、新しく立ち上げた事業では過去の実績がありません。AIが手探りで学習する期間を短縮するために、既知の情報を渡します。
短期間で成果を最適化したい場合
キャンペーン期間が限られている場合、学習に4〜6週間かけている余裕はありません。検索テーマで初速を上げます。
設定が不要なケースもある
一方で、次の場合は無理に設定する必要はありません。
- すでに十分なデータが蓄積され、成果が安定している
- LPに商品・サービスの情報が網羅的に記載されている
この状態であればAIは十分な手がかりを持っています。ただし新商品の追加や訴求の変更があった際は、改めて設定を検討する価値があります。
検索テーマの設定方法
設定するタイミングは3つあります。
1. キャンペーン作成時に設定する
新規でP-MAXキャンペーンを作成する際、アセットグループの設定画面に「検索テーマ」の入力欄があります。ここで語句を入力します。
2. 既存のシグナルを編集して追加する
すでに稼働中のキャンペーンに追加する手順です。Google広告ヘルプに記載されている流れは次のとおりです。
- 「キャンペーン」メニューの「アセットグループ」に移動します
- 「概要」アイコンを選択して、概要ビューに切り替えます
- アセットグループカードの右側にある「シグナル」の横の鉛筆アイコンを選択します
- シグナルのカードで「検索テーマ」を選択します
- 固有の検索テーマを最大50個まで追加します
- 語句を入力したら、キーボードのEnterキーを押して確定します
- 「保存」を選択します
手順2の「概要ビューへの切り替え」を見落とすと、シグナルの編集アイコンが見つからず詰まります。 管理画面で操作する際は、この切り替えを先に行ってください。
3. 未設定のアセットグループに新たに設定する
検索テーマを設定していないアセットグループがある場合も、同じくシグナルの編集画面から追加できます。
複数をまとめて入力する場合は、カンマまたは改行で区切ります。
よくあるエラーと対処法
入力欄が赤く表示された場合、原因は主に次の4つです。
エラーの原因 | 対処法 |
カンマや改行で区切られていない | 区切り文字を入れて分割する |
50個を超えている | 不要なテーマを削除する |
文字数が多すぎる | 半角80文字(全角40文字)以内に収める |
重複するテーマがある | 各テーマが一意になるよう修正する |
検索テーマの選び方
上限が50個に増えたとはいえ、闇雲に埋めればよいわけではありません。
1. 検索広告で成果の出ているクエリを使う
最も確実な手がかりです。すでに検索キャンペーンを運用しているなら、実際にコンバージョンにつながった検索語句を優先的に設定します。データに裏づけられているため、外れが少ない選び方です。
2. キーワードプランナーで関連語句を洗い出す
検索広告の実績がない場合や、新しい領域を狙う場合に有効です。関連キーワードと検索ボリュームを確認しながら候補を広げます。
3. 検索広告では入札しづらいビッグワードを使う
クリック単価が高く、検索キャンペーンでは費用対効果が合わないビッグワードも、検索テーマなら設定できます。P-MAXはコンバージョンの見込みで配信を判断するため、単価の高い語句でも成果につながる場面だけ拾える可能性があります。
4. 周辺の悩みや検討時の語句を含める
商品名だけでなく、顧客がその商品にたどり着く手前で検索する言葉を入れます。「〇〇 できない」「〇〇 費用」「〇〇 比較」といった検討段階の語句です。上限が50個に増えたことで、この領域まで手が回るようになりました。
5. 重複するテーマを避ける
Google広告のヘルプでは、設定手順のなかで「固有の検索テーマを最大50個追加します。たとえば『車』と『自動車』では同じオーディエンスにリーチすることになるため、重複しないテーマを選択する必要があります」と明示されています。
同義語で枠を消費するのは無駄です。50個という枠は、意味の異なるテーマで埋めるべきです。
6. 検索ボリュームが小さい語句だけで固めない
ニッチな語句ばかりを設定すると、AIが学習できる母数が確保できず、機能しにくくなります。ある程度のボリュームがある語句と組み合わせるのが基本です。
検索テーマを使う際の注意点
仕組みを誤解したまま設定すると、想定と異なる挙動に戸惑うことになります。押さえておきたい点を整理します。
検索キャンペーンの「キーワード」とは別物
繰り返しになりますが、検索テーマは配信対象を限定するキーワードではありません。「ここを狙ってほしい」という方向性の指示であり、その範囲外にも配信されます。
キーワードと同じ感覚で設定すると、想定と挙動が違って戸惑うことになります。
検索広告との優先順位を理解しておく
検索キャンペーンと併用している場合、どちらが優先されるかは重要な論点です。
Google広告のヘルプによると、検索テーマには、検索キャンペーンのフレーズ一致キーワードおよびインテントマッチキーワードと同じ優先順位が適用されます。
整理すると次のようになります。
- 検索キャンペーンの完全一致キーワードが最優先
- 検索テーマは、フレーズ一致・インテントマッチと同等
- 優先度が同じ場合は、広告ランクが高い広告が表示される
つまり、確実に指定した広告文を出したいキーワードは、検索キャンペーン側で完全一致にしておくのが安全です。
除外設定は引き続き有効
検索テーマを設定しても、除外設定と除外キーワードは引き続き適用されます。除外したい語句が検索テーマによって無効化されることはありません。
検索テーマは「拡張」の方向に働くため、意図しない広がりを防ぐには除外とセットで設計します。「〇〇 修理」「〇〇 作り方」「〇〇 求人」のように購入意図のない語句は、除外側で対処します。
使用できない内容がある
Google広告のポリシーに違反する語句は設定できません。また、他社の商標を含む語句なども制限の対象になる場合があります。
変更後は学習期間を待つ
検索テーマを変更すると、AIは新しい情報をもとに再学習を始めます。数日で判断せず、2週間程度は様子を見るのが基本です。頻繁な変更は学習を不安定にします。
設定後の成果の確認方法
設定して終わりではなく、機能しているかを確認します。
シグナルの強度表示を確認する
管理画面のシグナル設定画面では、設定した内容がAIにとってどの程度有効な手がかりになっているかを示す表示が確認できる場合があります。
これが弱い状態であれば、語句が抽象的すぎる、検索ボリュームが小さすぎる、重複しているといった原因が考えられます。設定した個数だけで満足せず、質を確認するという視点を持っておくとよいでしょう。
検索カテゴリで配信傾向を確認する
P-MAXでは、検索キャンペーンほど詳細な検索語句レポートは提供されていません。管理画面の「分析情報」から、検索カテゴリ単位での傾向を確認する形になります。
粒度は粗いものの、意図しないカテゴリに配信が広がっていないかを定期的にチェックすることは、除外設定の判断材料になります。
アセットグループ単位で比較する
検索テーマはアセットグループごとに設定するため、テーマの異なるアセットグループを作り、成果を比較するという検証も可能です。どの方向性の訴求が効いているかを判断できます。
【重要】検索テーマの評価は、コンバージョンデータの正確さに支えられている
ここまで設定と選び方を解説してきましたが、最後に見落とされやすい前提をお伝えします。
AIは「何が成果か」を教えられたとおりに学習する
検索テーマは、AIに対する入力側のヒントです。しかしAIが最適化を進めるうえで、それ以上に効いてくるのが出力側の評価基準、つまりコンバージョンデータです。
どれだけ的確な検索テーマを設定しても、AIが「これが成果だ」と学習するデータが不完全であれば、最適化は誤った方向へ進みます。良い手がかりを与えても、ゴールの位置がずれていれば意味がありません。
電話でのコンバージョンが抜けているケース
不動産、工務店、医療、士業、修理業、BtoB商材といった業種では、問い合わせの多くが電話で発生します。ところが、この電話成果がGoogle広告側に戻されていないケースが少なくありません。
その場合、次の連鎖が起きます。
- 成果が記録されない:Webフォームからのコンバージョンだけが数字に残ります
- AIが偏った顧客像を学習する:「フォームで送信する層」だけを成果につながる顧客だと判断します
- 検索テーマの評価を誤る:電話での問い合わせを生んでいたテーマが「成果なし」と扱われ、配信が細っていきます
せっかく設定した検索テーマの良し悪しを、正しく判断できなくなるということです。P-MAXは検索語句の可視性が限られているぶん、コンバージョンデータの正確さが判断材料としてより重要になります。
コールトラッキングで電話成果を戻す
この課題を解決するのがコールトラッキングです。流入経路ごとに異なる電話番号を出し分けることで、どの広告経由でかかってきた電話なのかを判別できる仕組みです。
P-MAXの運用においては、次の効果があります。
- 電話成果をオフラインコンバージョンとして広告側に戻せる:AIに正しい教師データを与えられます
- アセットグループごとの実質的な貢献が見えやすくなる:フォームだけでなく電話まで含めた成果で比較できます
- 無駄な配信の削減につながる:本当に成果を生んでいる方向へAIを導けます
検索テーマが「AIへの入力を整える施策」だとすれば、電話成果の計測は「AIの評価基準を整える施策」です。両方が揃って初めて、P-MAXの自動最適化は意図した方向に働きます。
よくある質問
運用時に疑問として挙がりやすい点をまとめます。
検索テーマは必ず設定すべきですか
必須ではありませんが、Googleはキャンペーンを早く軌道に乗せたい場合や、リーチを拡大したい場合に追加を検討するよう案内しています。特にLPに情報が十分に記載されていない場合は、設定する価値が高くなります。
設定するとデメリットはありますか
機能自体に大きなデメリットはありません。ただし、重複したテーマや検索ボリュームの小さい語句ばかりを設定すると、効果が出にくくなります。また、意図しない方向に配信が広がる可能性があるため、除外設定との併用が前提です。
検索キャンペーンとどちらが優先されますか
完全一致キーワードが最優先です。検索テーマはフレーズ一致・インテントマッチと同等の扱いになります。確実に出したい広告文があるキーワードは、検索キャンペーン側で完全一致にしておきましょう。
除外キーワードは効きますか
効きます。検索テーマを設定しても、除外設定と除外キーワードは引き続き適用されます。
設定後どれくらいで成果が分かりますか
AIの再学習に時間がかかるため、最低でも2週間程度は様子を見てください。短期間の数字で判断すると、偶然の変動を効果と誤認します。
まとめ
P-MAXの検索テーマについて、要点を整理します。
- 検索テーマは、広告主の知見をAIに伝えるための機能
- 2026年時点の上限はアセットグループごとに50個(従来の25個から倍増)
- 配信を限定するものではなく、AIの判断に情報を追加する仕組み
- 優先順位はフレーズ一致・インテントマッチと同等。除外設定は引き続き有効
- 重複を避け、成果の出ているクエリを軸に、周辺語句まで含めて設計する
- 検索テーマの評価は、コンバージョンデータの正確さに支えられている
AIによる自動化が進むほど、運用者に求められるのは細かな調整ではなく、AIに与える情報の質を高めることへと変わっています。検索テーマはその入口を整える機能であり、コンバージョン計測は出口を整える取り組みです。
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