Googleの「Cookie廃止撤回」に油断するな!賢いマーケターが「電話データ」を活用する3つの理由

2024年7月、デジタルマーケティング界に激震が走りました。Googleが、ChromeにおけるサードパーティCookieの廃止計画を撤回し、「ユーザーに選択肢を提供する新しいアプローチ」へと方針転換することを発表したのです。
そして2026年現在、この流れはさらに進んでいます。Googleは2025年4月、現行の設定方式を維持することを正式に発表しました。
さらに2025年10月には、Cookieの代替技術として開発が進められていたPrivacy Sandboxの主要APIの多くが事実上終了し、英国競争・市場庁(CMA)もGoogleを監督するというコミットメントを解除しています。
このニュースを聞いて、「よかった、これでリターゲティング広告もコンバージョン計測も安泰だ」「急いで代替ソリューションを入れる必要はなくなった」と、胸を撫で下ろしたマーケターの方も多いのではないでしょうか?
しかし、断言します。その「安心」こそが、今後のマーケティングにおいて命取りになります。
なぜなら、Cookieを取り巻く環境は「元通り」になったわけではないからです。むしろ、今回の一連の騒動で「プラットフォームの一存でルールが何度も変わるリスク」が浮き彫りになった今、「電話データ(ファーストパーティデータ)」の重要性は逆に高まっています。
今回は、Googleの方針転換の裏にあるリスクと、生き残るマーケターが電話計測に注力し続ける真の理由について解説します。
そもそもサードパーティCookieとは
本題に入る前に、基本を簡単に押さえておきましょう。サードパーティCookieとは、ユーザーが訪問したWebサイト以外のドメインが発行するCookieのことです。
サイトをまたいでユーザーの行動を追跡できるため、リターゲティング広告の配信や、複数サイトを横断したコンバージョン計測の基盤技術として長年活用されてきました。
一方、訪問先のサイト自身が発行する「ファーストパーティCookie」は、この規制・廃止議論の対象には含まれていません。今回取り上げる「電話データ」も、自社が直接取得するファーストパーティデータの一種にあたります。
Googleは何度も方針を変えてきた——この「不安定さ」こそが本質
まず押さえておきたいのは、サードパーティCookieをめぐるGoogleの方針が、この6年でこれだけ揺れ動いてきたという事実です。
- 2020年1月:2年以内(2022年末まで)にサードパーティCookieを廃止すると発表
- 2021年〜2023年:技術的な課題や規制当局との協議を理由に、廃止時期を3度延期(2023年後半→2024年後半→2025年前半)
- 2024年7月:一律廃止の方針そのものを撤回し、「ユーザー選択制」への転換を発表
- 2025年4月:ユーザーに判断を求める専用プロンプトの導入計画も撤回し、現行の設定方式を維持すると発表
- 2025年10月:代替技術として開発されていたPrivacy Sandboxの主要APIの多くが事実上終了。CMAも監督上のコミットメントを解除
つまり「2024年7月に一度撤回された」で話が終わっているわけではなく、Googleはその後も1年以上にわたって方針を微調整し続けているのです。
これだけ短期間に前提が変わり続けるプラットフォームに、自社の計測基盤を委ねきってしまうことのリスクは、むしろ以前より明確になったと言えるでしょう。
理由1:Googleは撤回してもApple(Safari)・Mozilla(Firefox)は許可しない
「Cookie廃止撤回」のニュースで忘れがちなのが、Chrome以外のブラウザの存在です。
AppleはすでにITP(Intelligent Tracking Prevention)により、サードパーティCookieを完全にブロックしています。
MozillaのFirefoxもETP(強化型トラッキング防止)により、トラッキング目的と判定されたサードパーティCookieをデフォルトでブロックする仕様です。
GoogleがChromeでの廃止を撤回しようと、SafariとFirefoxではサードパーティCookieを使った行動追跡はすでに機能していません。
日本国内のブラウザシェアを見ても、この影響の大きさがわかります。
StatCounterの2026年3月データによると、日本国内のシェアはChromeが約58%、Safariが約22%、Edgeが約13%、Firefoxが約3%となっており、サードパーティCookieをブロックするSafariとFirefoxを合わせると、国内ユーザーのおよそ4分の1に達します。
「Cookieが残るから大丈夫」と思っていても、実はサイト来訪者の相当数のデータが見えていない。この状態を解決できるのは、Cookieに依存しない計測手法だけです。
電話コンバージョンは、ブラウザの種類に関係なく「通話」という事実ベースで計測できるため、SafariやFirefoxユーザーの動向もしっかり捕捉できます。
理由2:「ユーザー選択型」でデータ欠損は確実に起きる
Googleは廃止の代わりに、ユーザー自身がブラウザの設定からトラッキングの可否を選択できる、現行のアプローチを維持する方針を明確にしました。
専用の選択プロンプトを新たに設けることも見送られたため、コントロールの主導権は引き続きユーザー側の設定に委ねられています。
これまでの事例(AppleのATT導入時など)を見ると、「追跡されたい」と自ら望むユーザーは少数派です。多くのユーザーが追跡を拒否する設定を選べば、結局のところ「サードパーティCookieは技術的に使えるが、肝心のデータが集まらない」という状況に陥ります。
これからは、「取れるかどうかわからないCookie」に依存するのではなく、「自社で確実に取得できるファーストパーティデータ」の比率を高めていくことが、安定したマーケティング運用の鍵となります。
理由3:Google広告のAIは「正確な教師データ」が必要
近年のWeb広告運用の成否を分けるのは、「機械学習(AI)にいかに正確なデータを学習させるか」です。
Googleの方針転換に関わらず、AIによる自動入札の精度向上は必須課題です。ここで重要になるのが「コンバージョンデータの質」です。
Webフォームのデータだけでなく、成約率の高い「電話コンバージョン」のデータをコールトラッキングツール経由でGoogle広告に戻してあげること。
これにより、AIは「Web上では追えないが、実は電話で成約している優良顧客」の特徴を学習できるようになります。Cookie規制の行方に左右されず、競合他社よりも賢いAIを育てることができるのです。
見落とされがちな理由4:Cookieが残っても「日本版Cookie規制」への対応は避けられない
もう一つ、多くのマーケターが見落としているのが、Googleの方針とは別に、日本国内ではすでに法規制が動いているという事実です。
2023年6月16日に施行された改正電気通信事業法の「外部送信規律」は、通称「日本版Cookie規制」と呼ばれています。
これはCookieの技術的な存廃とは関係なく、ユーザーの端末から外部へ情報を送信する場合に、事業者側へ通知・公表や同意取得などの対応を義務づけるものです。
対象はCookieに限らず、閲覧履歴やIPアドレスなども含まれ、電気通信事業者としての登録・届出が不要な事業者も広く対象になり得る点が特徴です。
つまり「Googleがサードパーティcookieの廃止を撤回したから、日本国内の対応も不要になった」というのは誤解です。
Cookieが技術的に使えるかどうかにかかわらず、外部送信規律への対応義務はすでに存在しています。この点でも、「プラットフォームの方針変更に一喜一憂するのではなく、自社が直接管理できるデータ基盤を持つ」という考え方の重要性は変わりません。
まとめ
Googleの発表に一喜一憂し、そのたびに戦略を変えるのはもう終わりにしましょう。
2024年7月の撤回発表から2026年現在に至るまで、Googleは1年以上にわたって方針を微調整し続けています。
Privacy Sandboxの主要APIも2025年10月に事実上終了し、「Cookieの代替技術」という前提そのものが崩れました。Cookieの規制がどうなろうと、SafariやFirefoxユーザーには届かず、日本国内では改正電気通信事業法への対応義務も別途存在します。
だからこそ、「Cookieの規制がどうなろうと、電話をかけてくる熱量の高い顧客」の価値は変わりません。
その顧客が「何を見て電話したのか」を正しく把握し、データとして蓄積すること。これこそが、どのようなルール変更が起きても揺るがない、最強のマーケティング戦略です。
「Cookie廃止撤回」というニュースを表層的に捉えて歩みを止めるのか、それともこれを機に「コールデータバンク」で盤石なデータ基盤を構築するのか。 数年後、マーケティング成果に大きな差がついているのは、間違いなく後者を選んだ企業です。
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